午前3時に水をかぶり、身支度をする。
それから仏様にお供えする、閼伽水といって朝一番のお水を取る作法をする。
水で清めた肉体で作法をしながら、ここから一日が始まると気が引き締まる。
お供えの用意をし入堂。
うちの寺は田舎なので、いつも静かだが、さすがに草木も眠る丑三つ時。
今の時期は何の音もなく、さらに静かに感じる。
明かりは少しの電球と、蝋燭の光のみ。
明るいお堂では集中して拝めないので、暗くしている。
そしてひたすら、申込者の祈願を祈り、お不動様のご真言を5千編唱える。
その後、日ごろの感謝を込めて、さらに真言を唱える。
冷水で清めた肉体と同じように、精神も浄められていく。
深い瞑想の境地のような感覚で、真言を唱えていると
「ホーホケキョ」
夜が明けると同時に、鶯が鳴いたようだ。
それから、小鳥たちが「チュンチュン」と、まるで軽井沢にでも来たような、夜明けを迎えた。
それから、濃紺の何とも言えない美しい、朝の彩が窓にうつる。
濃密な中に透明さがあり、それは、優しさと厳しさを同時に持つように思える。
この美しさは、ほんの一瞬でごくわずかな時間だ。
鳥たちもこの彩の美しさを喜んで、第一声を上げるのかとも思えてくる。
それぐらい美しい。